家を売る時に、住宅ローンの残債が残っていても売りたい場合にはどうすれば良いでしょうか?
理由は様々です、転勤、家族の事情、住み替えなどで今のマイホームを売却して新しい家に住み替えたいと考える人は数多くいます。
ですが、住宅ローンが残っている中、マイホームは売却できるのでしょうか。
実際に、自宅を売却して住宅ローンを完済できる場合とそうでない場合があります。
これらの疑問を解消するのと、家の売り方を今回は詳しくお伝えしていきます。
住宅ローンが残っている場合の家を売る方法
住宅ローンが残っている場合には、一時的に他で部屋を借りてから売却活動を始める方もいます。
ですが、他に引っ越さなければいけない理由がないのに、家を空き家にする必要はありません。
今の家に住みながら売却をすることも出来ることをまず知っておきましょう。
ここでは、今の家に住みながら売却する方法と他に引っ越した場合の売却の方法の2通りでお伝えしていきます。
自宅を引っ越す前に売却する
自宅を住んだまま売却活動を始める場合のメリットは、住居費用が安くすむ点が大きいメリットです。
例えば、引っ越してから自宅の売却をする場合には、売却する家の費用と引越し先の住居費用と二重に支払う必要が出てきます。
また新しい家が住宅ローンを組んで購入する場合には、二重のローンを売却が完了するまで負担し続けなければいけません。
また、引っ越しをしてしまえば、前の家は空き家になるので小まめに換気や清掃をしなければいけません。
人に頼む場合にも別途費用が掛かってしまいます。
なので、費用負担を考えるのであれば、今の家に住み続けながら売却をして、それと並行して新しい住居を確保する方がお得です。
もちろん多少の時期が被るのは仕方がないでしょう。
今の家に住みながら売却する具体的な方法
自宅を住みながら売却するのは中々大変な作業になります。
不動産用語では、売り先行と呼ばれますが、一番最初に行うのは、自身で市場性をネットで調べることです。
次に、不動産会社をいくつか選び自宅の査定をしてもらいます。
複数の査定を見て、付き合いたい不動産会社を選んだら媒介契約を結びます。
この際の媒介契約は、一般媒介契約にすることをお勧めします。
次に、不動産会社がインターネットやチラシで自宅を中古物件として、広告に出していきます。
購入希望者が不動産会社に連絡してきたら、次に家の内見があります。
◇内見で気をつけた方がいいポイントはこちらを参照にして下さい。
購入希望者と売買金額やその他条件の折り合いがついたら、次は売買契約と家の引き渡しです。
新しい家を探すタイミングとしては、一番は売買契約が決まったときか、購入希望者の数が多いタイミングで探すのがいいでしょう。
確実にいきたい時は、売買契約をして、引き渡しの条件を3ヶ月〜4ヶ月後に延ばして新しい家に引っ越すのがいいです。
もちろん事前にある程度新しい家の目星をつけておかなければいけません。
タイミングがずれて、元の家の引き渡しが先になる可能性もありますので、時期と資金に多少の余裕を持って、新居への引っ越しが前後してもいいように準備していきましょう。
もちろん金融機関に事前に、ローンの返済とダブルローンが組めるかなどの相談をしておくことが重要です。
引っ越してから売却する方法
先に新居に引っ越してから、前の自宅を売却する方法は、不動産用語で買い先行と呼ばれています。
前の家を売却する前に、新しい家を買うか借りるかして引っ越しをしてから、空き家になった前の自宅を売却していきます。
急な引っ越しが決まった場合には、ほとんどがこのパターンになります。
前の自宅の住宅ローンプラス新しい住居の費用も重なるのでかなり家計を圧迫します。
あまりお金がない場合には、安易に売り出し価格を下げるなどをしてしまうので、
結果的に損をする可能性が高くなります。
さらに、住宅ローンの残債以上の金額で売却できるとは限りませんので、
売却しても何百万円、下手をしたら何千万円の住宅ローンが残ってしまう可能性すらあります。
住宅ローンがいくら残っていて、今売却するといくらで売れるかは数年に一度は把握しておくのもいいでしょう。
今は査定だけでも不動産会社は対応してくれるので、現状でいくらで売れるのか一括査定をしてみるのもいいです。
◇一括査定については、こちらの記事で詳しく解説しております。
抵当権ってなに?
家を購入したら、所有権はあなたの物になります。
それを公に示すのが登記簿となります。
所有権を証明するのは、登記識別情報通知書(権利書)ですが毎回他人に見せる訳にはいかないので、法務局で土地建物の所有があなたの物ですよと記録して、他人が見れるようにしているのが登記簿です。
その登記簿には、所有権以外にも記載がされます。
例えば、あなたが銀行から借入を行なった場合に、公にその土地建物には借入がありますよと示します。
これが登記簿の「抵当権」の設定と呼ばれる物です。
抵当権は、その土地建物を担保にして、誰か(金融機関が主)からお金を借りているということを公にしています。
土地建物、自宅の売買には次の買主の人がこの抵当権が設定されていることを知らずに購入した場合に、
万が一、あなたが返済を行わずに、誰か(金融機関)から差し押さえをされたら、
せっかく、購入した不動産を競売にかけられてしまいます。
それを防ぐために、登記簿にあなたがどこからお金を借りているのかを示す必要があるのです。
では、この抵当権が設定されている場合には、どのように売買を行えばいいのかを解説していきます。
抵当権を抹消できるか確認しよう
住宅ローンを借りていれば返済するまで抵当権は抹消できません。
前述した通り、抵当権の抹消ができない場合には、買主に不都合が起こる可能性があるので、原則は売買できないと考えた方がいいでしょう。
抵当権の抹消は借りているお金を返せば抹消されますが、手続きなのでどのくらいかかるのか、抹消の費用はいくらなのかは借りている金融機関の担当者に確認を行いましょう。
また、新しい家を購入する際には、そこの担保に余力がある場合には、売買代金での一括返済で足りない際にも、新しい家の担保に追加すること手出しの資金を用意しなくてもいい場合があります。
その際には、毎月の返済が増えることには注意が必要です。
抵当権を抹消する手順
抵当権の抹消の手順は、主に売買の登記を担当してくれる司法書士にお願いをします。
もちろん事前に金融機関に抵当権の抹消ができるかの確認は自身でする必要があります。
金融機関に一括返済をしても、向こうが勝手に抵当権を抹消してくれるわけではありません。
大体が根抵当権という担保に対して、何回でも取引ができる枠で抵当権の設定をしているので、実際に借りているお金がなくても抹消手続きをしなければ、
抵当権の枠は消えません。
なので、司法書士に抵当権の抹消手続きも売買の時に依頼をします。
大体の取引は、売買契約が終わり、引き渡しの時に代金の一部を金融機関に返済して、同時抹消と呼ばれる方法で抵当権の抹消を行います。
費用に関しては、抵当権の抹消手続きで司法書士に1万円から3万円ほどと、登録免許税が1筆に対して、1000円課税されます。
例えば、土地が2筆、建物1筆であれば合わせて3000円の登録免許税が課税されます。
住宅ローン残債がある際の税金
家を売却した場合に、売却益や損失が出た時には確定申告をします。
もちろん売却益が出た場合には、譲渡税が課税され、損失が出た場合には、損益通算を行い他の所得から減税する手続きを行います。
◇自宅の売買で利益が出た場合にはこちらの記事を参考にして下さい。
◇自宅を売却した時に損失がでた時にはこちらの記事を参考にして下さい。
また住宅ローンの残債が残っている場合にはどのような節税対策があるのでしょうか。
住宅ローン残債に対して、売買代金が多いか少ないかで対策も変わってきます。
多い場合には、アンダーローン。
少ない場合には、オーバーローンと呼ばれています。
まずは、オーバーローンから説明していきます。
オーバーローンとは
オーバーローンとは、売却金額が住宅ローンの残債よりも少ない場合で、一般的に損失があっても売却することをいいます。
オーバーローンは、売却代金をもらっても借入が完済できない状態なので、
購入した時の金額よりも売却金額が低いときですので、損失が出ている状態になります。
この場合には、譲渡損失の確定申告をすることで、他の所得から繰り越して控除を受けることができます。
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)国税庁H P
簡単にお伝えすれば、売却して引き渡しをした前日のローン残債から、売却した金額を差し引きした金額でマイナスになった金額を控除してくれる税制度です。
〈例:
年収が500万円の人で、自宅購入時4000万円、フルローンで住宅ローンも4000万円だったケース。
売却金額が3000万円で、住宅ローン残債が3500万円
- 売却時3000万円―自宅購入時4000万円=▲1000万円
(損失が1000万円)
- 住宅ローン残債3500万円―売却時3000万円=▲500万円
上記の二種類の赤字のうち、下の②の方が年収と損益通算できる限度額になります。
譲渡損失が1000万円あっても住宅ローンの残債が基準になる点に注意が必要です。
年収が500万円で所得が400万円の場合には、所得の400万円が全額控除され、確定申告をした前年度の400万円の所得は0円となり、残りの100万円は翌年に繰り越すことができ、例えば翌年でも繰り越せないん場合には、さらにその翌年にも繰り越すことができます。
最大で3年間繰り越せるので、損失を出した場合には少しでも税金で取り返すためにご利用ください。
控除を受けるための要件は下記に記載いたします。
◇マイホームの売買であること
◇更地にしての売買ではないこと
◇住宅ローンの残期間が10年以上
◇自宅の売買代金がローン残債以下であること
以上の4点がマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例が使える条件になっています。
ローン残高よりも売買金額が高い場合
ローン残高よりも、マイホームが高く売れる時は、アンダーローンと呼び、ほとんどのケースでは売却益が出ているでしょう。
通常の売買であれば、譲渡益が出たら税金が取られますが、マイホームの場合には、売却益の3000万円まで控除が受けられる制度があります。
◇詳しくは、別記事の居住用財産の3000万円の特別控除を参考にして下さい。
3000万円の特別控除を受けられる場合の要件は下記に示します。
◇マイホームの売却
◇引っ越した後でも、引っ越しした日から3年以内の年末までに売却する
(災害で建物が消失した場合も同様)
◇制度を使う年の2年前までに同じ制度を利用していないこと
◇売却先、つまり買主が生計を一する家族や特別な関係でない
以上の4点がこの制度を使える条件になります。
これらの条件のもとであれば、3000万円売買代金は控除されて、残りが課税対象になります。
例えば、5000万円の売買代金で、購入時が4000万円、長期譲渡のケースであれば、
控除を受けない場合は、
5000万円―4000万円=1000万円×20.315%=203.15万円の譲渡税が発生します。
これが控除を受ける場合には、
5000万円―3000万円(特別控除)―4000万円=0円以下
になるので、譲渡税が発生しません。
使えるのならば使った方がいい制度です。
マイホームの売却には軽減税率もある
マイホームを売る際には、軽減税率も使えます。
税率は下記の計算で行います。
課税長期譲渡所得金額 | 税額 |
6,000万円超 | (課税所得-6,000万ー経費)×15%+600万円 |
6,000万円以下 | 課税所得×10% |
課税長期譲渡所得金額とは、次の算式で求めた金額です。
(土地建物を売った収入金額)-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税長期譲渡所得金額
このマイホームの軽減税率を受けられる要件は下記の通りです。
◇売却不動産が日本国内の自宅
◇所有期間が10年越え
◇2年前までにこの軽減税率を使っていない
◇マイホームの買い替え特例を使っていない
◇売却先が生計を一とする家族や特別な関係者でないこと
以上が条件になっています。
住宅ローンがあっても家を売るいい方法
家のローンがあっても上手く売却する方法は、事前に準備をしっかりとすることです。
当たり前のことですが、意外に難しいです。
特に不動産の売買はその手順が複雑で、しかも慣れていない作業になるので注意が必要です。
事前準備も大切ですが、家を売却してローンが完済しきれなければ大きな負担になります。
なので、まずは家をどれだけ高く売れるのかを検証する必要があります。
家を高く売るためには、複数の不動産会社に査定依頼をすることが最も手軽な方法です。
自分で高く買ってくれる不動産会社を見つけるのはかなり大変です。
というか、ほとんど無理でしょう。
ここはプロである不動産会社に任せるのが一番です。
いい不動産会社を見つけるのは一括査定がお勧めです。
一度で複数の不動産会社に見積もり査定の依頼ができるので、手間が大幅に削減されます。
◇不動産会社の一括査定の方法はこちらの記事を参考にして下さい。
自宅売却で必要なお金と時期
自宅を売却する際には概ね下記の費用がかかります。
内容 | 内訳 | 支払いの金額計算方法 | 支払い時期 |
契約書印紙税 | 契約書に貼る印紙代 | おおよそ5千円から1万円 | 売買契約締結時 |
登記抵当権抹消費用 | 登記簿に記載の抵当権抹消手続き費用 | 司法書士へ1万円前後 、登録免許税で登記×1,000円 | 引き渡し時 |
売買譲渡取得税 | 売買利益額 | 長期譲渡税で20.315% 短期譲渡税で39.63% | 確定申告時 |
売買仲介手数料 | 不動産会社への仲介手数料 | (3%+6万円)×消費税 | 売買契約成立時 |
各種証明書発行費 | 印鑑登録証明書、固定資産税の評価証明書などの発行費用 | 各役所によりますが、一通200円程度 | 物件売却前 |
家を売る時には様々な費用がかかります。
最も大きいのは不動産会社に支払う仲介手数料です。
3000万円の家を売却するのならば、105万6千円の仲介手数料の支払いが必要になってきます。
まるまる100万円以上のお金を支払うわけですから、不動産会社にはしっかりと仕事をしてもらいたい気持ちになります。
対して、不動産会社は100万円の仲介手数料の金額は対して大きくないと感じる会社が多いです。
個人にとって100万円は大変大きな金額ですが、勤めている不動産会社の社員にとっては、月のノルマの一部です。
そう考えると数多くの物件を売買しなければいけないので、一つの案件に注力しないさそうに思えます。
実際にそういう不動産会社もいます。
なので、売却する時には複数の不動産会社に声をかけることを著者は勧めています。
銀行との事前交渉
家を売却する前に、銀行と住宅ローンの相談が必要です。
黙って売っても抵当権は勝手には抹消されませんので、銀行に対してどのように住宅ローンを返済すつのか相談をしなければいけません。
いくら残っていて、いつ返済ができるのか。
また、一括返済ができない際にどのような対応をするのかなどです。
銀行の人も本部に稟議を書かなければいけないので、売買契約をする前日などに話をされても困ってしまいます。
事前に家を売ることを伝えて、いくらぐらいで売却を考えているのか都度都度相談をしていきましょう。
住宅ローンがあっても家売却で成功させるコツ
ほとんどの場合には、家を売る時には、住宅ローンが残っています。
どのような流れで売却が進むかを掴んでおくことで成功への道が見えてきます。
住宅ローンが残っている際の流れは下記の通りです。
◇家の周りの売買事例を見ておく
◇住宅ローンの残債がいくらか調べる
◇いつ頃売却したいのか家族と相談する
◇家の権利証や買った当時の資料を揃える
◇不動産会社に査定をお願いする
◇査定額でローンの返済ができるか銀行と相談
◇不動産会社と媒介契約を結ぶ
◇内見の人の対応をする
◇売買契約
◇銀行と抵当権の抹消について打ち合わせ
◇引っ越し
◇家の引き渡し
◇確定申告
以上が大まかな流れになります。
◇詳しい不動産の売却の流れはこちらの記事でお伝えしております。
家を売る際には色々な手続きが必要になってきますが、
一番大切なのは少しでも高く売却できるかです。
そのためには、できる限り多くの不動産会社と相談をするべきでしょう。
少しの手間で、手元に残るお金が何百万円と変わってきます。
不動産会社に依頼する際には、一括査定がお勧めです。
下記の記事で一括査定についてお伝えしております。
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