マイホーム住宅を売却で損をしたら給料と損益通算で税金が安くなる?

マイホーム住宅を売却で損をしたら給料と損益通算で税金が安くなる?売買で役立つ知識

今回は、自宅を売却して、思ったよりもいい金額で売れずに、ショックを受けている時に、救済を受けられる制度をまとめました。

自宅を売る時は様々な想いがあると思います。

そんな中、考えていた金額よりも低く売却するしかない時もあるでしょう。

残念な気持ちで落ち込むのは後でも出来ます。

その時は、できる限り支払う税金を安くすむ手続きをしましょう。

家や自宅マンションなどの土地・建物を売って損失がでた場合に、損をした金額を給与などの収入から控除して、税金が還付する事ができます。

この制度は2種類あり、別の家は買わない売却しただけの場合と、売った前後で新居を買った場合があり、制度内容が多少異なりますので、その違いも合わせて解説していきます。

それぞれ特徴がありますので、ご確認ください。

先行きが読めない経済情勢で、住宅ローンの支払いが困難になっている人も多くなっています。

大切なマイホームを仕方なく売却しなければいけない人もこれから増えていく可能性があります。

普段多く支払っている税金を、損を出した時に取り返せる制度なので、使わない選択肢はありません。

ただ、大きな損失の場合には、残債の金額によって繰越せる金額が制限されるのに注意が必要です。

また、あくまで控除金額なので、実際に損した金額までは到底足りません。

救済措置の一つとして考えてください。

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特定居住用財産の譲渡損失で損益通算、繰越控除の特例とは

マイホームを持ってフラフラのイメージ図

所有期間が5年を超える自宅を売った際に、売買金額と取得金額で損があった場合に、一定限度額までを他の収入から控除する事で損失に対しての一部を税金から還付して受け取る事が可能になります。

もし、売って損した額が大きくて、1年で控除しても、まだ余る時には、その年以外で3年間繰り越して、合計で4年間に渡り控除が可能になります。

イメージ的には下記の図表を参考にしてください。

マイホーム住宅売却をして損を出した時の繰り越しをするイメージ図

使うための条件

この制度を使うためには、様々な条件があります。

簡単に言えば、5年以上所有している一般の住宅であれば問題はありません。

細かな条件は以下のすべてを満たすことが条件になります。

① 2004年年初から2021年年末に譲渡の年の年初で、不動産の所有が土地建物ともに5年を超え所有している

② ①の譲渡契約した日の前日において、譲渡予定の自宅にに借入残高(10年以上の返済期間が残っている)がある

③ ①の譲渡にかかわる譲渡損失がでている

④ 売却するマイホーム住宅が下記のどれかの条件を満たしている

イ 譲渡する年の年初において所有期間が5年を超える住居

ロ イの建物で自身の居住の用に供されなくなった日から3年を過ぎた日の年で年末までに譲渡する

ハ イまたはロの建物の敷地になっている土地

ノ 譲渡するイの住居が災害などで無くなった時は、無くなった建物があった土地を譲渡した年の年初で、5年を超え所有している(災害から3年間の年末までに住宅の引き渡しが完了している)

使えない場合はどんな時か

全ての場合で、制度の利用ができる訳ではありません。

他の特例を直近で使用していた場合には、同じ制度がしばらく制限されるので、前に使った事がある人は期間内かどうかが重要になります。

1. 損益通算しようしている年の4年の間に、他居住用の損失を使って、損益通算の特例を使用していた

2. 譲渡をする年の1〜2年前に、資産売却で他の特例を使用していた

3. 譲渡の年の3年以内に居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算の特例の使用をしていた

損益通算と繰越

この制度のメリットは、給与所得などの他の所得との損益通算をする事ができるところです。

例えば、損失をその年で控除しきれない時には、その年を含めて4年以内で繰り越して控除が可能です。

不動産は金額が大きいため、損をする時には、その金額も大きくなる可能性があるので、とてもありがたい内容になっています。

計算方法と気を付ける点

繰り越しができる損失の限度金額=

売買契約前日の借入残高 - 売買金額

上記の式で簡単に計算はできます。

つまり、翌年以降も繰り越しできるのは、借入が残っている金額から譲渡価格を引いた額になります。

例えば、ローン残高が2,000万円で売買金額が1,200万円の場合に、800万が翌年以降の繰越対象になります。

残高の金額が重要になります。

通常の売買であれば、ローン残高を下回る金額での売却は行わないですが、返済が困難や住む理由が無くなる、住めなくなるなどの仕方ない状況もあります。

ただ、売却の時に、騙されて安く売られることもあるので、不動産の売却査定などは1社だけでなく、複数の会社に査定を依頼する事が大切です。

買い換えでの繰越控除の条件

新しい住宅購入の場合にも、特例は使用できます。

この制度も所有が5年を超える自宅を売って、損した部分を他の収入から控除して、税金で還付する事ができます。

その年で損益通算して、さらに損失が残った場合は、4年以内での繰り越しで所得から控除できる制度になります。

新たな住宅を購入する条件が増えたという認識を持って頂ければ分かりやすいです。

使うための条件

前述した条件とほぼ同様の内容になります。

5番の条件が増えただけです。

以下の要件のすべてを満たすことが必要です。

1.2021年年末まで有効で、譲渡する年の年初で、不動産の所有期間が土地建物ともに5年を超えて所有している事

(毎年更新されていますが、適用年度は国税局のサイトで確認下さい。)

2. 譲渡した年の前年の年初から譲渡した年の翌年の年末までに、新たな住居を購入する

3. 新居には、翌年の年末まで住み始める事

4. 不動産売却で損が出ている

5. 新居を購入した年の年末、もしくは、繰越控除の適用を受ける年の年末において、「買い換え資産」の住宅ローン(ローン期間10年以上)がある

新しく購入する住宅の条件

新しく購入する住宅にも、条件があります。

あまりに狭い家だと脱税の疑いもあるので、一定以上の面積を持つ家を所有する事が条件になります。

下記の条件を満たしている必要があります。

1. 居住の床面積が50㎡以上

2. 区分所有する場合は、その床面積のうち、居住の床面積が50㎡以上

買い換え時の適用できいない要件

適用できない条件も、直近で他の特例を使用していた場合になります。

下記の条件に当てはまる場合には制度を利用できませんので注意が必要です。

1. 損益通算する年の4年以内に他の居住用財産の譲渡損失で損益通算の特例を使っていた

2. 譲渡の2年以内に他の特例を使用していた

3. 譲渡の3年以内で「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例」の使用していた

4. 譲渡損失の各年で、所得が3,000万円を超えている年は繰越控除の適用はできないです。

まとめ

自宅を売った時の損失は、給与所得などの他の所得との損益通算が可能になります。

適用を受けるには必要書類をそろえて、確定申告する必要があります。

住宅ローン控除との併用も認められています。

適用は毎年更新されていますが、売却時に有効かどうかは、売買契約前に確認をしてください。

契約後にどうするかではなく、
事前に調べて、どのぐらい残るのか正確な数字を把握することが大事です。

コロナの影響で経済が不安定になり、仕方なくマイホームを売却する事を考えている人も日に日に多くなっています。

もし、売却で損失が出た場合には、しっかりと制度内容を理解して、損した部分を少しでも取り戻していくようにしましょう。

売買で役立つ知識
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