【共有名義の不動産とは】〜トラブルの解決方法〜デメリット・メリットの解説

画像 共有の文字を持っている人形 ・不動産 豆知識

共有名義の不動産とは、2人以上の所有者が持ち分を分け合って所有している状態になります。

別々に人が一つの不動産を所有している訳ですから、様々なトラブルやデメリットのケース事例があります。

場合によっては《やっかいな不動産》として、不動産業界では有名で、あまり関わりたく無いという不動産会社もいます。

基本的に揉めているケースが多く、大体が弁護士や司法書士に丸投げされてしまいます。

近しい人同士であれば特に問題ないですが、仲が悪い同士や他人同士で意見が一致しない場合は手の付けようがありません。

そのトラブルとデメリットとの解決方法をお伝えします。

共有名義の不動産とは

共有名義の不動産とは

共有名義の不動産とは、一つの不動産を複数の人たちが持ち合う状態を言います。

複数の人が個々の所有する割合を決めて、特定の場所を持っている訳でなく全体の何割を所有しているというイメージです。

登記簿には、鈴木一郎1/2 鈴木二郎1/2という表記をされています。

共有名義の不動産の多くは相続で取得したなどの理由で、所有している人が多いでしょう。

なので、親族同士で共有名義の不動産を所有しているケースが最も多いです。

遺産分割が終わっておらず、被相続人の名義が変えられずにいる隠し共有名義や、争続トラブルで遺産分割が決まらずに、暫定のまま、相続人たちで所有している不動産などもあります。

このケースが一番のやっかいな不動産です。

また親子・兄弟姉妹・夫婦間・知人などでお金を出して、複数人で買って、保有する共有不動産もあります。

少し前にニュースで問題になった京都の公民館も、昔に地域でお金を出し合い購入した後に、相続登記をしなかったために、何百人という所有者がいる不動産となり、解体も売却もできない厄介な不動産になっています。

また、共同出資で不動産を購入する場合には、気をつけないといけない点があります。

自己資金、借入金の名義などの費用負担分で登記をしないと贈与として課税されることがあることです。

身内で持っている共有不動産では、特に問題がないはありませんが分譲マンションなどの共有敷地、少しやっかいな私道の共有持分の様々な共有財産があります。

共有名義の不動産の活用とは

共有名義の不動産とは、数人が持ち合っているので、他の共有者全員の同意を得なければ動かすことが出来ません。

以下の3つが大きな例です。

①土地が共有名義 :土地の利用をすること、今の用途から変更すること、例えば建築など。

②建物が共有名義:更地にする、大規模修繕、建て替えなど。

③共有名義の不動産全体を売却:自身の持分範囲内で、5年以内の他人への売却を禁止する取り決めなどがなければ、自由に売却などができます。
持分権利を他の共有者や、全く他人の第三者に売り渡すことも自由です。
ただし、第三者が購入する場合は、他の共有者がいるため、一人では動かせない不動産になるため、かなりの値下げをされます。

※たとえ、家族同士が所有している共有名義の不動産であっても、他の人から了承がない状態で、建て替えや占有をすることは、他者の財産を侵害することになるため、トラブルになりますので気をつけましょう。

共有や借地などの問題物件を専門に買い取る業者もいますが、かなり買取価格は安いです。

共有名義の不動産のメリットとは

共有名義の不動産にもメリットは複数あります。

共有名義の不動産にすることで、税務的な優遇が受けられる場合もあるのです。

例えば、夫婦で共有で土地建物を購入して、転勤などを理由に自宅を売却をする場合に、売却した金額から譲渡利益がある場合に、3,000万円までの控除が、夫婦2名に適用できます。

二人分で6000万円の控除が受けられます。

購入して、間もない物件では節税枠が少ないですが、買った時の金額がわからない状況や相続で引き継いだ自宅、購入した時より3000万円以上高値で売れた場合はかなりの節税ができます。

マイホームの売却の特例と譲渡税については、下記の別記事を参考にしてください。

共有名義の不動産のトラブル事例

共有名義の不動産のトラブル事例

共有名義の不動産では、多くのトラブルがあります。

所有している人も、自由に使いたい、不動産を売却して現金にしたい、または、共有状態を解消したいと考えている人は多いですが、共有は中々解決するのが難しいです。

相続で共有にした場合や、離婚した夫婦で共有の不動産を所有している人が特に多いでしょう。

共有名義の不動産 問題・トラブル事例・デメリット

公道に面して21m程の間口を持つ120坪の土地があったと仮定します。

これを兄弟である 一郎さん、次郎さん、三郎さんの3名が3分の1の割合で共有している場合で、3名が40坪の土地を個々に利用したい時は比較的スムースに解決できるものです。

基本的に120坪の土地を道路に面して3分割すればいいことです。

また、120坪を一括にて売却して、3分の1ずつで売却した金額を分ける場合も話がまとまり易いでしょう。

その土地に 三郎さんが所有する建物があり居住していると面倒になります。 

一郎さんと 次郎さんは土地を売ってお金を欲しいと考えており、三郎さんは住んでいるので売れないと拒否すれば問題になり中々難しい状況になります。

一郎さん、次郎さんは自己所有の土地持分を三郎さんに買ってもらうか、トラブルがあって解決しない共有不動産として第三者に安く売るか、もしくは、共有物の分割訴訟による裁判での決着をつけるかと時間も費用もかかります。

別の話ですが、120坪の土地に一郎さんが共同住宅を建築したいと計画しても、次郎さんと 三郎さんが反対をすれば共同住宅を建築はできませんし、誰の名義で建てるのかも問題になります。

建てる場合には他の所有者の了承がいります。

次郎さんと三郎さんに無断で建築をすれば二人の財産を侵害することになり、へたをすれば裁判で争うことになります。

共有名義の不動産はどうしても流通性や換金性が低く、場合によっては収益性も低いです。

資産としても問題があるものになります。

共有名義の不動産 解決例

共有名義の不動産ならではの、解決事例をお伝えします。

ケース1:共有者の不仲

兄弟で3人の共有の場合です。長男、次男、三男

相続により取得した土地建物に居住している長男の建替えに対して、次男が一切の合意をしない場合です。

長男は他の共有者三男の合意は得ていたのですが、次男だけが合意せずに、次男の持分権利を売ることも納得しません。

お互いに仲が悪く、話し合いに応じません。

解決する方法は、次男が三男に共有の持分権利を移転し、三男が長男に再移転するという手法です。

次男と長男だけが仲が悪ければ、他の共有者を介して契約と権利移転をおこない、三男に移った持分権利を長男に再移転したわけです。

費用も通常よりもかかりますが、解決するためには多少の出費には目をつむりましょう。

仲が悪いのであれば、解決方法はあります。

ケース2:離婚による共有の解消

夫婦で共同購入した共有名義の不動産で、離婚したので、共有の解消・整理をしたい場合。

財産分与するか、相互間でどちらかに売却するのか、もしくは、第三者への売却が一般的です。

夫婦が資金を持ち合い購入した不動産では、自己の持分を売買や贈与で相手方に所有権移転する場合には、特に問題なく登記できますが、これが住宅ローンを利用していた場合は、難しいです。

片方が残債を残したまま、所有権移転はできません。

住宅ローンは、所有権と抵当権設定などをもとに貸付けをしています。

残債を残したままで名義が変われば、片方は無担保でお金を貸し出している状態になってしまいます。

所有権がなくなる方の全額返済をするか、全部を所有する方が新たな住宅ローンを組み直すかが必要になります。

夫婦間でも、今の時代3人に1人は離婚をしています。安易に夫婦での共有名義にすることで、後々多大な出費がでる場合があります。

ケース3:共有者が音信不通のケース

共有者が行方不明などで連絡がつかないケースもあります。

この場合でも、自身の共有持分は売却できます。

しかし、不動産の全部を売却する場合には、全員の同意が必要なのは変わりません。

ただし、共有者が行方不明などで連絡がつかない場合には、裁判所に申立てすることで、その共有者の所有持分を売却することもできます。

ケース4:共有名義の不動産 維持管理費

不動産を維持するためには固定資産税や都市計画税などの税金、修繕費などの必要経費を各自負担する必要があります。

共有不動産の場合は、民法253条で各自の持分に対して、負担するように決められています。

民法253条(共有物に関する負担)
共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

たとえば、2人兄弟が1/2ずつ共有所有してい建物を修理した場合に、100万の修繕費がかかった際に、それぞれが修繕費の1/2の50万円を各自が負担する必要があります。

ケース5:使用貸借の注意

身内の場合は第三者を間にいれて行うといいでしょう。

身内だと遠慮なく、喧嘩になる場合もあるので、第三者を通じて冷静に対応することで解決することもあります。

現状の権利や利用状況、そして、土地の規模、形状、建物がある場合、当事者の現在の状況などによっても問題の解決方法は変わってきます。

共有者に相続が発生すれば、持分権利はさらに細分化・複雑化していき、関係する人は増え続けていきます。

先送りはせずに、なるべく早くとりかかりましょう。

共有名義の不動産での用途を変えることや、売却の計画は非常に難しく、共有者全員のを合意をとるのは中々難しいです。

お互いの仲が悪ければなおのこと難しいです。

そして、相続を重ねるたびに持分権利は細分化・複雑化していきます。

最終的には、なにも手が付けれなくなる可能性もあります。

問題となっている共有不動産に関しては、第三者をいれるか専門家に任せることを推奨します。

共有名義の不動産は、共有者同士での有益な土地利用方法や売買・交換などの目的に沿って、共有問題やトラブルの解決をしていくことが重要です。

共有名義の不動産 解消するには?

共有名義の不動産 解消するには?

共有名義にならないように、または、なってしまっている状態を解消する方法を紹介します。

現物分割

共有の持分ごとに土地を区画割りして、分筆して単独名義の所有に変更する方法です。

例えば、120坪の土地を3名で3分の1ずつ共有している場合、40坪を3つ作り、それぞれに分筆して、各自が1区画を所有する方法です。 

3区画に分筆した場合で1区画は整形地、残りの2区画は変形地の場合は、それぞれの土地が同等程度の評価額になるように面積を調整することも大切です。

それ以外でも、日当たりや角地、現在の建物の建築状況も加味して分筆する事が好ましいでしょう。

仮に、土地の形状や道路の接道状況によって、分筆が難しい場合もあります。

その場合は、差額分を現金などで分ける方法もあります。

換価分割

共有の土地を売却し、持分をもとに現金で分ける方法です。

土地を分筆して、使わない土地を売却して現金で分ける方法も可能です。

代償分割

共有者のうち、誰かが他の共有者に、自身が持っている持分を譲渡して、その対価として現金や他の不動産をもらう事で共有を解消する方法になります。

不動産を一括で見積もりすれば、高値で売却も可能

共有名義の不動産とは トラブル解決方法 まとめ

共有名義の不動産とは トラブル解決方法 まとめ

共有不動産はメリットがほとんどないのに、デメリットがたくさんあります。

できれば、共有で不動産を持つことは避けた方がいいです。

もし仮に、共有不動産をすでに所有している場合は解消できる時に解消して下さい。

仲が良ければ解決しやすいですが、仲が悪くなれば難しくなります。

また、解決しようとして金銭の絡みで仲が悪くなる場合もありますので、お互い尊重しあい解決を図りましょう。

共有名義に関係する記事は下記でも紹介していますので、参考にしてください。

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