不動産売買『契約不適合担保責任とは』瑕疵担保責任はどう変わった?

不動産売買『契約不適合担保責任とは』瑕疵担保責任はどう変わった? 売買で役立つ知識

今回は120年ぶりに改正が行われました。

瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わりどの様な変化があるのか?

また、法人から個人に物を売る際は、瑕疵担保を免責にしても消費者契約法があるので、基本的には免責にはなりません。

これは民法の改正があっても変わりません。

従来の瑕疵担保責任は、問題が起こった時の細かい部分は判例などを主体にして、一般の人には理解しにくい箇所が多くありました。

改正では、より具体的に変更になっていますので参考にしてください。

契約不適合担保責任(旧 瑕疵担保責任)

契約不適合担保責任(旧 瑕疵担保責任)

元々は、瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、民法改正後の名前は「契約不適合担保責任」です。

つまり、契約と違う内容は責任を取って下さいという法律です。

瑕疵担保からなぜ名前が変わったのか

瑕疵という言葉は法律用語で定着していますが、言葉も難しく、場合によっては物理的な物のみが対象と思われることがあり、よりわかりやすい名前に変更されました。

不適合が何を示すかというと、契約の趣旨に照らして備えるべきと認められる品質・数量等に適合していなければならないと考える方のがしっくりきます。

名前は変わりましたが、実は本質は変わらず一般の人にも理解しやすいように追加と内容を変えただけです。

改正民法の契約不適合責任に関する法律条文は下記のとおりです。

第五百六十ニ条
契約不適合担保責任
一 引き渡された目的物が種類,品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは,買主は売主に対し,目的物の修補,代替物の引き渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし,売主は,買主に不相当な負担を課すものでないときは,買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
ニ 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは,買主は,同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

法務省の民法改正 リンク

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

代金減額請求権とはなに?

代金減額請求権とはなに?

旧法の民法では、瑕疵の部分が是正されない場合に、買主の対抗手段として「契約解除」「損害賠償」の2つがありました。

今回の改正民法では、「代金の減額請求権」が新たに増えました。

通常必要と思われる期間に是正を催促し、その期間で是正されない場合は、契約解除と損害賠償以外に代金減額請求ができます。

契約解除、損害賠償に対して、軽い対応といえるので、現実的な妥結点で、お互いの解決がしやすいかもしれません。

電子政府e-gov引用

改正民法の代金減額請求権に該当する条文
【第五百六十三条前条】
第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20161013_428AC0000000027

契約中断の支払い義務は何か?

契約中断の支払い義務は何か?

今回の改正により、今までは完成した物を渡すという責任、引き渡し後にしか発生しない債務について、中断時の成果物によって得られた利益がある場合には、その対価を払う義務が発生します。

電子政府e-gov引用

改正民法の契約中断における支払い義務の条文
第六百三十四条
次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
ニ 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20161013_428AC0000000027

請求権の変更はどんな事?

請求権の変更はどんな事?

瑕疵担保責任の瑕疵は、旧民法の条文では「隠れた瑕疵」となっています。

民法改正後は、不適合の事実を知ってから1年間です。

これは永久の権利ではなく、5年で時効になり、権利は消滅します。

1年だったものが5年間になるので、その期間は油断が出来ません。

電子政府 e-gov引用

改正民法の請求権起算点の条文
【第五百六十六条】
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20161013_428AC0000000027

契約自由の原則により、改正後も、契約時点において旧法の瑕疵担保責任と

同様に「契約不適合責任の期間は引き渡し後1年以内とする(もしくは、瑕疵担保免責)」

という内容でお互いが合意すれば、契約書の方が優先されます。

契約書に期間の記載がない時は、5年という民法で決められた内容が適用されます。

また、改正後の契約不適合担保責任では「目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」と記載があります。

種類・数量は決めやすいですが、物の「品質」をどこまで契約事項に定めるかという事は、改正後の契約書においてトラブルの元になるかも知れません。

法人と個人が売買する場合の注意点、消費者契約法

法人と個人が売買する場合の注意点、消費者契約法

あまり知らいない人が多いので、ご注意ください。

売主が一般法人(事業者)、買主が個人の売買契約について、
・消費者契約法8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
・消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
において、瑕疵担保責任は5年(改正民法の期間)(旧法は知った時から1年、上限5年)。

契約不適合責任を免責にした場合でも、その特約は無効です。

(買主がこの法律を知らずに、有効期間が過ぎる場合もあります)

期間を1年以下の6ヶ月や3ヶ月にした場合は、判例がないため、問題があれば裁判で解決を行います。

例えば、法人所有の中古アパートを個人の方が購入する場合をお伝えします。

アパートなどの事業目的で法人から個人が物件を購入する場合は、
消費者庁の見解では、今までにアパートなどを所有しておらず、初回の売買となる場合は消費者を保護するという観点で消費者契約法が適用されると言われております。
既に事業でアパートなどを所有していれば、事業者とみなし、消費者契約法の適用は無いです。

アパートなどの所有がない場合でも、配偶者などがアパートなどの所有をし、共に話を行っていれば、事業者とみなされますが、所有がない買主を単独で接客している場合は適用されます。

なので、プロかアマかと言うところで、この法律が決められます。

少し判断があやふやなのは、今まで、不動産などでは使われる事が少ないからです。

不動産業者も宅建業法ではないので、知っている方は少ないです。

消費者庁 消費者契約法リンク

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まとめ

瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わることで、責任期間が5年に延び、細かい損害賠償の取り決めがされました。

今まで、売主のゴネ得が多少強かったですが、今後は買主側も優勢になるかもしれません。

瑕疵の範囲も、実際はケースバイケースなので、どこまでを補償するかはお互いの妥協点を見つけなければなりません。

土地の売買では、5、6件に1件は地中にゴミなどが埋まった物件が出てきます。

その撤去でだいたいが揉めます。費用も何十万、何百万掛かるので。

揉めそうな時は事前に弁護士などに相談するのが安全です。

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