《相続の限定承認とは》単純承認・放棄の違いとメリット・デメリット

《相続の限定承認とは》単純承認・放棄の違いとメリット・デメリット・相続について

限定承認は、相続でマイナスにならない様に相続が出来る手続きです。

限定承認は概略だけ聞くと使いたい制度だと思われる人が多いでしょう。

しかし、使い勝手が良い制度ほどデメリットもあります。

実際に限定承認を活用する人は、実際には少ないです。

なぜ使う人が少ないのか、限定承認について詳しく解説していきます。

限定承認とは

限定承認とは

相続財産には、現金などのプラスの財産と借入などのマイナスの財産があります。

マイナスの財産が多いと相続放棄する人が非常に多くなる為、限定的にプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する手続きが、限定承認です。

限定承認が使われない理由

限定承認は前述したことだけを見ると、相続放棄をするより、限定承認の方を使いたいと思う人が多そうですが、実際はそこまで使われていません

年間で限定承認が800件弱、相続放棄が20万件弱と250倍の差があり、限定承認の数はかなり少ないです。

いくつかの理由があるので解説していきます。

相続放棄と比べて手続きが複雑

限定承認した場合は、債務の精算を行う必要があります。

もちろん限定された債務を引き継がなければいけませんので、その債務の引き継ぎ業務と返済をするのであれば、資産の売却手続きなどをする必要があります。

相続放棄は下記記事にて詳しく説明しております。

限定承認の税金

通常の相続では相続税の納税が必要になりますが、
限定承認を選んだ場合は譲渡税の課税対象になってしまいます。

被相続人の財産の内の一部しか受け取らないため、資産の譲渡がされたと考えられて税金が課せられます。

被相続人が譲渡税を払う立場になりますが、既に亡くなっているため、相続人である限定承認をした人に納税の義務があります。

譲渡所得税は、取得費や譲渡費用、使える控除があれば課税金額から差し引きする事が出来ます。

しかし、マイホームの売却の3,000万円控除などは身内への譲渡には適用がありません。

例えば、限定承認で自宅を引き継いだ場合

15年前に被相続人が4,000万円で購入した自宅が、限定承認する際の不動産鑑定評価で6,000万円の評価額、鑑定士の依頼を相続人が行い、経費が50万円かかった場合に掛かる税金の計算。

譲渡金額6,000万円ー取得費4,000万円ー経費50万円=課税価格1,950万円

長期譲渡税の計算になるので、

1,950万円×20.315%=3,961,425円

みなし譲渡所得になるので、相続での財産の限度で課税されます。

もちろんプラスの財産からマイナスの財産が残らなければ税金がかかりません、残った財産が譲渡税よりも少なければその財産の限度での納税です。

利益がゼロになれば納税に必要性もありません。

限定承認は共同手続き

限定承認は相続放棄と単純相続と違い、他の相続人全員と共同で行わなければいけません。

手続きも、家庭裁判所に届け出の必要があります。

限定承認と相続放棄の手続きには期限が決められており、相続発生を知った日から3ヶ月以内に手続きをする必要があります。

他の相続人が相続放棄した場合も、限定承認は出来ます。

また、相続財産の一部でも処分をした場合、上記の期日を超えた場合は単純相続したとみなされます。

もちろん他の相続人が行った場合も、限定承認は出来なくなります。

処分は、相続不動産の名義変更や、賃貸人に賃料を請求、資産価値のある遺産の形見分け、遺産分割協議をした場合でも処分したとみなされます。

ただし、相続財産からの葬式、墓石、仏壇の購入などは処分したとみなされません。

財産の状況の調べ方

被相続人の財産を調べるためには、郵便物や書類、通帳を調べていく必要があります。

証券会社から郵便が来ていれば、有価証券を持っている可能性があり、固定資産税の通知書等があれば所有不動産がわかります。

確定申告書があれば、資産の状況も把握しやすいでしょう。

マイナスの資産は、信用情報照会で金融機関からの借り入れは把握できます。

・日本信用情報機構 JICC
・シー・アイ・シー CIC
・全国銀行個人情報センター KSC

などの会社があり、3社とも情報開示を依頼した方がいいでしょう。

3ヶ月の期間を延長できる

限定承認をするのは3ヶ月以内と期間が決まっていますが、家庭裁判所に申し立てをすれば、裁判所が許可した場合に延長出来ます。

3ヶ月が半年に延長し、さらに延長が必要であれば再延長も申し立てをし、裁判所の許可を得る事ができれば延長が可能です。

限定承認とは まとめ

限定承認があまり使われていないのは、手続きや他の相続人と共同で行わなければいけないことや、税金の手続きなどが、通常の相続と違うために相続放棄の方が単純で利用しやすいので件数が増えていないのが現状です。

制度自体はいい制度ですが、使いどころが難しいので専門家のアドバイスがないと、利用されてないこともあるでしょう。

・相続について
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