経営セーフティ共済は、節税にならないと考えている人も多いでしょうが、やり方次第では節税になります。
しかも、小規模企業共済とは違いサラリーマンも加入できます。
一般的には、積み立ての支払い時は節税になりますが、解約して積立金を受け取る際は纏めて税金が取られるので、逆に税金を多く払う可能性が高いのがデメリットになります。
しかし、節税にする方法やメリットもあるので、わかりやすく解説していきます。
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済は、中小企業が取引先の倒産で連鎖倒産になるのを防ぐためにつくられた制度です。
掛け金の限度額は総額で800万円まで積み立てすることができます。
もしもの場合には、掛け金の10倍まで、無担保・無利子で貸付してくれます。
掛け金も全額が、経費に計上できるので、積み立てた年は節税効果があります。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、全国で43万の企業が加入しています。
実際に貸付をしている金額は約2兆円になり、日本の中小企業を支える一翼を担っているといっても過言ではないでしょう。
経営セーフティ共済 メリット
経営セーフティ共済には様々なメリットがあります。
まずは、掛け金全額を経費に計上できることです。
1年以内の前納分も支払った期の経費に計上する事ができます。
ただし、事業所得以外、例えば不動産所得には、掛け金の必要経費算入が出来ませんのでご注意ください。
掛け金は、月額5,000円~20,000円まで毎月変更する事ができます。
ただし、増額は簡単に出来ますが、減額の場合は、経営状況の悪化など条件が決められています。
解約した場合も、解約手当金として受け取る事ができます。
自己都合で解約した場合であっても、12ヶ月以上納めていた場合は8割以上、40ヶ月以上納めていれば全額が戻ってきます。
12ヶ月未満は掛け捨てになります。
解約手当ては、申請後10~14日で振り込まれます。
また、解約後1年経過すれば再加入できます。
掛け金も前納すれば、1,000分の0.9を累計月数を掛けた金額が返金されます。
前納は毎年3月末に計算され、合計金額が5,000円以上の場合に6月に返金されます。
返金された金額は収入扱いになるのでお気をつけください。
12ヶ月分を前納した場合は、1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11+12=78に対して0.09%を掛けたものが返金額になります。
月に1万円を掛けて前納した場合、年間で12万円
12万円×0.09%×78=8,424円が前納したことにより返金されます。
もちろん、前納する時期は決まっていないので、年末に今季の経営状況を見て、翌年分を前納するか決めてもいいでしょう。
来年分の前納をしても、前納した期の経費に計上されます。
共済に加入して、6ヶ月以上で一定以上の要件を満たした場合、取引先の倒産などがあった場合に無担保、無保証人で借り入れをすることができます。
借入金は掛け金の10倍までが限度額になります。
返済期間は6ヶ月は据え置きがありますが、5~7年での返済期間になります。
経営セーフティ共済 デメリット
メリットでもお伝えしましたが、12ヶ月以内の掛け金は掛け捨てとなり、加入後40ヶ月までは満額の解約払戻金はありません。
また、いざ借り入れを行った場合、借り入れ金額の10%が掛金から減額されます。
つまり、年率ではなく、返済期間で10%の利息を支払うのと同等になります。
1000万円を借りた場合は、100万円の掛け金が無くなります。
また、民間で5年間の借り入れ期間で5%の金利で借りた場合、利息は合計で1,1322,740円掛かるので、銀行で5%以上の利率の場合は経営セーフティ共済で借り入れをした方がいいでしょう。
7年の場合は利息3%で利息の合計額は1,099,172円になるので、それぞれの場合と検討しましょう。
また、解約した場合の金額は全て事業所得に合算されます。
最大で800万円の所得になりますので、その税金はかなり大きくなります。
従来の所得にプラスしての所得なので、タイミングを間違えると税金を無駄に支払わなければいけません。
経営セーフティ共済 解約するタイミング
日々の積み重ねで節税をしていても、解約払戻金を受け取った事で、多額の納税するのはよくありません。
なので、この経営セーフティ共済に加入する人はある程度、「将来的な設備投資」、「修繕で多額の費用が掛かる」などの予定がある職種。
また、安定しない収入で赤字になる可能性がある職種の人にオススメします。
従来の所得に合算されるので、本業が赤字の時に解約すれば税金は少なくなります。
経営セーフティ共済 加入できない条件
下記の条件を除けば、継続して1年以上事業をしていれば加入できます。
経営セーフティ共済に加入できない条件
・事業、住所の変更を繰り返しており、継続的な取引が把握が困難
・事業の経理内容が不明
・以前に借入れを受けた共済金、一時貸付金の返済を怠っている
・当機構からの返還請求がある共済金、早期償還手当金、一時貸付金などの返還をしていない
・法人税・所得税の滞納している
・12ヵ月分以上掛金の納付をしていない、不正の行為で共済契約を解除されて、1年を経過していない
・不正の行為で、共済金、一時貸付金、早期償還手当金などの支給を受けてから1年を経過していない
経営セーフティの申し込み方法
加入手続きは、商工会議所や中小企業団体中央会、中小企業の組合、損保ジャパンなどで申し込みができます。
融資実績がある金融機関で申し込みをすれば会社の資料を提出しているため、申し込みが楽になります。
JAやゆうちょ、労働金庫、新生銀行、あおぞら銀行は取り扱いしていませんので、ご注意下さい。
経営セーフティ共済とは まとめ
経営セーフティ共済は使い方次第では、節税効果も保全効果もある制度になります。
ただし、使い方を間違えると結果的に節税どころか、より多額の納税をすることになるのでご注意下さい。
万が一の貸付の保険と、日々の節税、赤字や設備投資のタイミングでの解約払戻を考えれば、悪くない制度になります。
また、節税だけを考える場合は、小規模企業共済の方がいいでしょう。
節税の幅を考え2つを併用することも検討してみてもいいかもしれません。
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