市街化調整区域に農地を所有している人の大多数が、所有地の売却をしたいと考えています。
高齢な夫婦で、後継ぎもいない状況であればなおさら、手間がかかる農地を売却していきたいでしょう。
しかし、市街化調整区域の農地を第三者に売却する場合は、農業委員会に農地法3条許可か農地法5条の許可を貰ってから売却(所有権移転)しなければなりません。
市街化調整区域の農地は転用するのが、非常に厳しいです。
本来であれば、既存宅地制度、分家制度、近くの工場などが駐車場がなく一括の契約をしたいなどの理由がないと転用は許可されません。
この許可がなければ、大規模農家が買主にならない限り売却できません。
ここまで厳しい制度を作るのであれば、国が買い取る制度も合わせて作って欲しいぐらいの勢いです。
今回はそんな時に、使える調整区域の農地転用の合法的な裏技をお伝えします。
もちろんリスクもあります。
しっかりと確認をしてから検討してください。
市街化調整区域の農地
市街化調整区域では、農地を耕作することに重きを置かれているため、田や畑から雑種地や宅地に変更することは非常に難しくなります。
農地法3条許可は、農地のまま売買する許可を貰うことですが、買主側にかなりの要件が課せられています。何千㎡もある農地を管理している、後継ぎの農業従事者がいるなど、そんな家庭はあまりいません。
農地法5条は、農地を宅地、雑種地に変更する許可を貰うことですが、市街化区域であれば1週間ほどで許可がでますが、市街化調整区域ではほぼ許可がでません。
例外として、認められるのが、20年以上家屋が建っており、現況が宅地になっている、または、近隣の工場などで資材、駐車場が不足しており一括貸しの話しが来ている場合は農地法5条の許可がおりる可能性が高いです。
売買に関しても、農業委員会に黙って行えば、農地法に違反しているので所有権移転は無効になります。
それほど、日本では農地に対しての規制が強くあります。
市街化調整区域でも、雑種地に地目変更ができる可能性
農地のままであればこの方法は使えませんが、例えば、現況が駐車場になっている場合であれば、雑種地に変更できる可能性があります。
雑種地に変更できれば、農家以外の第三者に所有権移転の手続きができます。
農地の所有権の移転ができないのは、登記簿が農地になっている場合、所有権の移転申請時に登記官が農地転用の受理証もしくは農地法3条の許可証を確認して、所有権の移転をしていきます。
この受理証などがなければ、登記官は簡単には移転登記をしてくれません。
書類がない場合は、登記官は農業委員会に所有権の移転届が出されている旨を伝えます。
農業委員会も許可を出していない旨を伝え、移転登記ができません。
なので、事前に地目変更を申請する必要があります。
地目変更について
地目変更は、当該土地の利用状況を変更することで、登記簿の地目が農地であっても、今の状況が農地でなく他の用途で使われている場合に、変更などの原因を問わず、農地法に違反する転用だとしても、法務局は地目変更の登記を受理をすることが過去のケースであります。(昭36.8.24民甲1778民事局長通達)
そのまま受理をした場合には、登記申請で農地法を無視してしまう状況になります。
法務局での農地法と地目変更登記手続きの取り扱い
法務局に農地転用の手続きを取らないまま、申請した場合には、下記の手順で地目変更の手続きがされます。
1.地目変更手続きの際、登記官は転用許可証明書などを添付した場合を除き、農業委員会に対して下記の状況確認を行います。
①転用許可が出されているか
②現況はどうなっているか
③原状回復命令が発せられる可能性はあるのか
④建築規制があるのか
上記のことを文書などで確認し、農業委員会の回答があるまで最大2週間までは登記の処理を停止します。
2.登記官は、照会した後で、2週間以内に返答がない場合、または非農地であると返答があった場合には、現地に行き、状況を見極める実地調査を行い、地目の変更をします。
現況が非農地(駐車場、資材置き場、建物)から、農地に原状回復命令の可能性があるとの回答があったときには、原状回復命令が農業委員会などから言われる可能性があるか、最大2週間までは登記の処理を再度留保します。
3.登記官は、2週間の間で農業委員会から回答がこない場合には、実地調査をし、地目を確認し、原状回復命令が確定した知らせがあれば当該地目変更の登記を却下します。
つまり、農地法5条許可を取らずに地目変更の申請をした場合、農業委員会が現況を確認し、原状回復命令をださなければ、法務局は今の使用用途に合わせた地目に変更します。
だだし、
原状回復命令がだされれば、最悪、罰金及び農地に戻す工事を自己負担で行う必要があります。
また、専門家もこの方法は代理申請してくれません。
あくまでも、自己責任で行う必要がありますので、ご注意ください。
事前に、役所で該当地の管理をしている農業委員会に相談するのもいいでしょう。
はじめに土地の所在は言わずに、現状の話しをし、当該農業委員会として、当該ケースでは原状回復命令はでるのか確認するだけでも、大分気が楽になります。
通常の農地転用手続きに関しては、下記の記事を参考にしてください。
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