小泉環境大臣も育休をとると明言するほど、今の時代、産休、育休はポピュラーになっています。昔では、産休をとるなら退職しろだの、男性の育休なんてとれる雰囲気ではなかったですが、時代は大きく変わっています。
まだまだ、浸透していない中小企業も多いですが、時間をかけてこの制度をとるのが当たり前になっていくでしょう。
そして、ゆくゆくは欧州のような勤務体系になり、ワークライフバランスがとれる世の中になっていくでしょう。
さて、女性はお腹に赤ちゃんができた喜びで一杯の反面、産休や育休中の生活費が気になります。
思い違いをしている人が多いですが、産休・育休中には基本的には勤めている会社からの給与は発生しません。
給与が発生しない代わりに、国が保障する手当や給付金で、出産・育児休業に対する支払いが行われます。
下記に一覧を掲載します。
産休・育休期間に貰える手当や給付金一覧
給付金一覧
制度 | 給付金及び内容 |
産休中出産一時金 | 42万円 |
出産手当金 | 日給の3分の2相当額/日 (出産42日前〜出産56日後まで) |
育休中・育児休業給付金 | 月給の50~67%×育休月数 |
児童手当 | 5,000~15,000円/月 (※所得や子どもの年齢によります) |
産休・育休中は手当や給付金が貰える
冒頭にもお伝えしましたが、産休・育休中には、勤めている会社からの給与の支払いはありません。
その代わりに、加入している保険や住民票の登録がある各市町村から、手当や給付金を受け取ることができます。
健康保険や勤務形態などで貰える給付金とは異なります。
産休・育休の給付
産休とは、出産の予定日6週間前から産後8週間に休暇を取ることをいいます。
育休とは、産休が終わった翌日から子供が基本的には1歳の誕生日を迎えるまで取れる休暇のことです。
育休に関しては、期間を最大2年まで延長することができます。
産休で貰える給付金
産休中に給付される助成金は、出産育児一時金と出産手当金の2つがあります。
出産育児一時金
出産育児一時金は、高額な出産費用による負担を減らすことで、安心して子供を産めるようにしている制度です。
各健康保険から、子ども一人につき最大42万円の給付金がでます。
出産時の分娩・入院費用は約45万円以上(個室や病院、地域によってはそれ以上)かかりますが、出産育児一時金があれば、高額な出産費用を負担する必要はありません。
出産育児一時金の給付 要件
健康保険に加入している
(被保険者の配偶者、あるいは扶養家族も含む)
妊娠4ヶ月以上での出産
(流産・死産も含む)
出産育児金の受給方法
出産育児一時金の受給は、直接支払制度、受取代理制度、産後申請方式の3つが選択できます。ほとんどの方は直接支払制度を選びます。
出産一時金の受給方法
直接支払制度
申請および受給を病院側がします。
出産にかかった費用で42万円を超えた金額は、退院時に支払いを病院にします。
42万円以下の場合は、健康保険に申請を行い、差額分を振り込んで貰えます。
受取代理制度
自身で加入している健康保険に必要書類を提出し、受給する。
申請受理後に、出産育児一時金が入金され、病院に自身で直接支払いをします。
産後申請方式
直接支払制度を利用しない旨を病院に伝え、出産時にかかった費用全額を自身で病院に支払いをします。
支払い後に、必要書類を自身で健康保険の窓口に提出すると、口座に出産育児一時金が後日振り込まれます。
直接支払制度の場合は、出産する医療機関が申請してくれるため、手続きは所定の書類にサインするだけでいいので、ほとんどの人が使います。
クレジットカードが使える病院では、ポイントがつくので、他の受け取り方を検討してもいいでしょう。
また、直接支払制度を導入していない病院もありますので、出産する病院を選ぶ際のひとつの目安にしてもいいでしょう。
出産手当金
出産手当金は、産休中に勤めている会社から給与の支給がない人に、健康保険から支給される給付金です。
出産42日前〜出産56日後で、1日あたり給与を日割りした約3分の2の金額が支払われます。
出産手当金の受給要件
勤め先の会社で健康保険に加入していることになります。
勤め人であれば、正社員や派遣やパートなど勤務形態は関係なく支払われます。
ただし、健康保険に12ヶ月以上加入しないと、産休中に退職した場合も出産手当金を受け取ることができません。
また、自営業やフリーランスで国民保険に加入している人や、ご主人の扶養に入っている人は受け取ることができません。
申請するためには、産休前に会社から支給申請書をもらう必要があるため、総務や人事に事前確認を行いましょう。
出産手当 計算式
出産手当金がいくら貰えるかわからないままでは不安になるでしょう。
ここでは計算式を以下でお伝えします。
出産手当金 : 日給 × 2/3 × 産休で休んだ日数
日給:支給開始以前12ヶ月分の報酬分の標準報酬月額を合計÷12÷30
例)月収30万円の人が、産休で98日休業した場合の出産手当金
日給1万円 × 2/3 × 98日 = 65万3,333円
その他の給付制度制度
出産育児一時金や出産手当金以外に、出産前後にかかるお金の負担を減らしてくれる制度があります。
1.産前産後休業保険料免除制度
産前産後休業保険料免除制度は、産休・育休期間の社会保険料の支払いがなくなる制度です。
健康保険・厚生年金などは、全額免除になります。
申請方法も、会社に申請を行えば、手続きは会社が行ってくれます。
従来、対象外であった国民年金加入者も、平成31年4月から国民年金保険料も免除なっています。(育休中はまだ対象外になります)
免除になるのは国民年金の保険料だけで、国民健康保険料の支払いは免除されません。
2.子ども医療費助成制度
子ども医療費助成制度は、子どもが医療機関に受診した費用の全額(地域によっては、一部の負担)を市区町村で支払ってくれます。
出産時にも、一部使えますが、基本的には子ども医療費助成制度の申請は、子どもが産まれた後に使うものになります。
地域によっては、出産時の子どもの入院費用や処置にかかった費用も使うことができます。
もし、実費で支払った場合には、市町村の担当窓口に領収証などを提出すれば、還付金として後日に口座振り込みをしてくれます。
お住いの市区町村以外で、子供の医療で実費が発生した場合も、役所の窓口で申請を行えば、実費分が後日、口座に振り込まれます。
育休の給付金
育休中に給付される育児休業給付金という制度があります。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、育休中に会社から給与の支給がない人に対して、雇用保険から貰えるお金になります。
支給期間は、子どもが1歳になるまでですが、保育園に入園できないなどの理由があれば2歳まで伸ばすことができます。
育児休業給付金は、会社に言えば申請手続きをしてくれる企業が多いです。
また、提出が遅延すると、受給時期も遅延することがありますので、早めに対応していきましょう。
育児休業給付金は、休業してから約2ヶ月後に支給が開始され、給付金は2ヶ月分を一度にして振り込まれます。
育児休業給付金の受給 要件
・雇用保険の加入している
・育休前の2年間に、1ヶ月に11日間以上働く月が12ヶ月以上ある
・育休中に就業している日数が月10日以下である
・会社から、育休前の給料8割以上ではないこと
育児休業給付金 貰える金額
育児休業給付金はどのくらい貰えるか不安になると思います。
計算式を下記にてお伝えします。
休業開始時賃金日額(※1)×支給日数(※2)×67%(50%(※3))です。
※1 「休業開始時賃金日額(以下、「賃金日額」とします。)」とは、原則、育児休業開始前6か月間の賃金を180で除した額です。
※2 「支給日数」とは、原則30日、休業終了日の属する支給単位期間についてはその支給単位期間の日数です。
※3 育児休業の開始から6か月経過後は、給付される金額が50%に変更されます。
【例】月収30万円の人が育休で12ヶ月休んだ場合に育児休業の給付金
育休開始から180日目まで、半年間の給付金額
給与30万円 ×育児休業給付金割合 67/100 × 180日分 = 120万6,000円
育休開始から181日目以降、半年経過後の給付金額
給与30万円 ×育児休業給付額半年後の金額 50/100 × 180日分 = 90万円
半年後は給与の半分が給付されます、給付金合計額は、120万6,000円 + 90万円 = 210万6,000円です。
2ヶ月毎にまとめて支給されるので、1回の振込額は、40万2,000円(半年以内)、30万円(半年以上)となります。
産休中に出る給与が手当や給付金よりも額が少ない場合
産休中の会社から支払われる給料金額が、出産手当金や育児休業給付金の支払われる金額よりも少ない場合は、それぞれの給付金から差額分が支給されます。
例えば、出産手当金が1日当たり7,000円の給付される予定であり、勤め先から給与が1日4,000円支払われると、差額の3,000円が出産手当金給付されます。
産休に入る月の給料や税金
会社によって賃金規定が決められているので、会社の規定をまずはご確認ください。
もし、規定など無い場合は、産休に入る月の給料は、出勤日数分を日割りで支払われるケースが多いです。
産休・育休中の税金
出産手当金は非課税なので、所得税はかかりません。
ただし、住民税は前年分を今年支払うという仕組みなので、産休中でも支払いをしないとダメです。
産休育休との差額計算
育休をとった場合どの程度の差額になるか、計算をしてみます。
産休・育休前の給与明細は下記の金額にて算定します。
【育休前の給与明細例】
・総支給額=25万円(基本給=24万円、交通費=1万円)
・控除額合計=5万1771円(健康保険料=1万2883円、厚生年金料=2万3790円、雇用保険料=750円、源泉所得税=4840円、住民税=9508円)
・差引=19万8229円
次に、産休、育休を取得して、出産手当金・育児休業給付金を受け取るようになると、受け取れる金額は以下の通りとなります。
・産前産後休業中
25万円×3分の2=約16万6666円-9508円(住民税)=15万7158円(産休前の約79%)
・育休取得後6カ月まで
25万円×67%=16万7500円-9508円(住民税)=15万7992円(育休前の約80%)
・育休取得後6カ月以後
25万円×50%=12万5000円-9508円(住民税)=11万5492円(育休前の約58%)
お伝えした通り、産休・育休期間中は社会保険料が免除、税金も所得税が免除され、住民税だけなので、そこまでの差額が生じません。
産休・育休前の手取り額は19万8229円だったので、4万〜8万円ほど少なくはなりますが、ランチなどをなくし、家で自炊を行い、会社の付き合いがなくなるので、無駄な出費が減るので節約をすれば問題なく生活ができます。
まとめ
産休、育休は世間がとることを推奨している制度です。
女性の方は比較的に取得するのが当たりませになっていますが、男性は未だに壁があります。取れない会社が悪いわけではありませんが、同僚や上司の心証は大事なところです。
無理に取得し、今後の昇進や勤めに支障がでるのも問題ですので、無理のない範囲で取得しましょう。
例えば、育休を取得しても問題ないスキルや実績があれば、会社にも戻りやすいですし、必要とされます。
今後の情勢を踏まえて個別に判断し、制度を活用していきましょう。
子供が生まれたら、復職する際に気になるのが保育料です。下記記事で保育料を安くする方法をお伝えしていますので、参考にしてください。
また、学資保険に加入しようか悩んでいる人には下記記事に、貯金との比較でメリット、デメリットをお伝えしておりますので、参考にしてください。
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