築年数が経っている物件や、賃貸物件を売却した際など、様々な状況で部屋の立ち退きを請求されます。
大家から言われて、すぐに了承するのは損です。
立ち退き料の相場や対処方法を知らずにいたら、何十万円も貰える機会を逃してしまいます。
いきなり郵便や投函で「立ち退きのお知らせ」とくる場合もあれば、大家さんや管理会社の人が訪ねて来て立ち退きの話をされ「合意書にサイン」させようとしてくる場合もあります。
この記事は入居者目線での内容をお伝えします。
入居者の立場からしたら、突然の話で頭が真っ白になってしまい不利な条件で承諾してしまうかもしれません。
なるべく有利な条件を出すための対処法をここで理解し、いざという時に備えていきましょう。
賃貸アパートの立ち退きとは
冒頭でもお伝えしましたが、多くの場合、築年数が古く建て替える場合や更地にして売却するために立ち退きを請求されます。
大家としては、立ち退き請求をした時点で入居者に退去をしてもらう考えは確定しています。
後は、少しでも早く入居者に立ち退いて欲しいと思っています。
大家にも、その決意をした理由があります。
相続税対策で建物を新築にしたい。相続があり、相続税が支払えない為、仕方なく売却をする。
どのようなケースであっても入居者の立場としたら、やっかいな話です。
立ち退き告知書(請求書)とは
大家さんから、口頭、投函、訪問、郵送など様々な形で、立ち退きに関しての告知書または、請求書を提示してきます。
立ち退きの理由や時期、立ち退き料などが書かれている場合がありますが、多くのケースは、口頭で大家から「そろそろ建て替えるから、引っ越してくれませんか。」と言われることが多いです。
または、弁護士などを通して、立ち退きの交渉がある場合もあります。
立ち退きの交渉行為は法的行為なので、本人または血縁者、代理人としての法律家(弁護士、司法書士など)以外が交渉する行為は違法となります。
なので、管理会社や建築メーカーの社員が交渉に来た場合は、名刺などをもらっておき、会話は録音しましょう。
立ち退きをしないといけない期限は?
大家さんが、立ち退きを請求する場合は、賃貸契約更新の1年〜半年前にすると法律で定められています(借地借家法第26条)。
あまりにも早い半年後に立ち退いて欲しいなどの要望は無視しても問題はありません。
ただし、入居者側が契約違反などを行った場合は、大家側はただちに退去を請求できます。
大家と入居者の信頼関係が著しく失われる行為などをした場合です。
例えば、無断で別の人に部屋を貸す場合(無断転借)、ペット不可の物件に、大家に内緒で生き物を飼う、騒音を激しく起こし、近隣や他の入居者に迷惑をかけるなど。
大家との約束事や近隣に大きく迷惑をかける場合は、即時退去が認められます。
立ち退きは強制ではない
借地借家法では、賃貸借契約の解約は貸主と入居者の双方が合意する必要があります。
大家から、立ち退き請求があった場合でも、必ず立ち退かないといけない訳ではありません。
例え、契約書に「大家が立ち退きを請求した場合、立ち退くこと」と書かれていても鵜呑みにしてはいけません。
一方的に不利になる契約内容は、無効になるケースもありますので、専門家に相談しましょう。
ただし、定期借家などで契約期間が決まっている場合は、有効になるので大人しく引っ越しをしましょう。
通常の契約書も2年更新となっているものが多いですが、これは定期借家ではなく、普通賃貸借契約になります。
契約終了を基準にしているかどうかが目安になります。
定期借家は「期間限定で貸します」という契約ですが、普通賃貸借は「2年ごとに契約を更新していきます」という契約となり、全く別の契約内容になっています。
なので、普通賃貸借で更新期間になったので、このタイミングで立ち退きをして欲しいといわれても、承諾する必要はありません。
補足ですが、ハウスメーカーなどの立ち退き交渉担当(渉外ともいいます)が来た場合、立ち退き合意書の締結を迫られるケースがあります。
内容は「立ち退くことに合意しました。」という内容ですが、これにサインすると後々、不利になるので、立ち退きの話しがあった場合は、安易に書類にサインしないで下さい。
例えば、「立ち退きの話を聞いたことに対する確認書(承諾書)」などもサインは避けて下さい。
どうしてもと言われる場合は、先方の名刺の裏書きに自分で、「立ち退きの話しは聞きましたが、了承はしていません」などの記入に変えましょう。
相手側の書類は、警戒するのが重要です。
交渉のポイントは?
立ち退きの請求が来た場合、取る方法は複数ありますが、大きく分けると2つになります。
立ち退きを了承するか、断固として立ち退かないかです。
今回は、立ち退きを承諾した場合の優位な条件を出す方法をお伝えします。
断固として立ち退かない場合は、方法としては立ち退きを了承をせずに、賃料なども法務局に供託するなどの方法が限られるので詳しい説明は割愛させて頂きます。
立ち退き料の相場と値上げ交渉
立ち退き料は、入居者が引っ越しをして別の賃貸物件を契約するための費用を大家さんに支払ってもらう意味合いが強いです。
その他として、迷惑料なども含まれる場合もあります。
大家さんの都合で立ち退きの請求がある場合は、立ち退き料の値上げが見込めます。
一般的な相場は、家賃の6か月分プラス引っ越し代が相場となります。
迷惑料(補償金)の目安はなく、大家との話し合いになりますが、何十万の場合や、何百万になる場合もあります。
今回は住居系を基軸にお伝えしておりますが、例えば、営業している店舗の場合であれば立ち退き補償金は1000万円以上が相場になります。
某百貨店のテナントの立ち退き際には、ゴネて5,000万円の立ち退き費用を貰った人もいます。
そこで商売をしているので、他に移った場合、売上が減る可能性があるからです。
その補填金で多額の費用が請求できるのです。
まとめ
立ち退きの請求があった場合、多くの人は冷静に対処できないケースが多いです。
それは、予備知識がなく、引っ越し先を早急に探して立ち退かないといけないと思ってしまうからです。
実際は、上記でお伝えした通り、大家は焦っていますが入居者は焦る必要はありません。
しっかりと落ち着いて自身に有利な状況で、次の新天地に臨むのがいいでしょう。
ある程度の追加費用も大家側が、次の予定を確定しているのであれば、大家も多少の予備費はみていますので、上乗せの請求はしてみましょう。
ただし、あまりにもふっかけるのはお互いの交渉がこじれてしまうので、例えば、「その金額だと難しい。」「引っ越してからも色々とお金がかかるから」などの抽象的な値上げ交渉から行いましょう。
あまりに多額の値上げをすると、最悪裁判などになってしまうので、なるべく、お互いで交渉できるようにしていきましょう。
トラブルに繋がる可能性の場合は、下記記事で原状回復以外でも、不動産トラブルの相談先をまとめています。参考にしてください。
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