市街化調整区域で「家を建てる方法」分家住宅・既存宅地の解説

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マイホームの建築を考えた際にネックになるのが、土地の値段になります。

『親が土地を持っているが、市街化調整区域しかない為、家が建てられない。』

『昔から家はあるけども、調整区域だから建て替えできない。』

そんな悩みを持っているあなた、実は、調整区域でも家を建てることができます。

条件は市街化区域よりも格段に厳しくなりますが、要件に合致すれば可能です。

今回は、調整区域にマイホームを建てられる方法について説明していきます。

市街化調整区域

田舎の風景写真

市街化になるのを調整している地域で、農地などが広がっている地域になります。

市街化調整区域の変更は、各担当役所などが計画して各知事が決定します。

よって許可を取るのも知事に対して行います。

また、道路舗装や上下水道など生活インフラがない場合もあります。

なければ、自己負担で整備する必要があります。

家を建てる場合には都市計画法34条での開発許可が必要になります。

都市計画法 第三十四条 

市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については、当該申請に係る開発行為及びその申請の手続が同条に定める要件に該当するほか、当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。

一 主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

十一 市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの

十二 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの

十三 区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された際、自己の居住若しくは業務の用に供する建築物を建築し、又は自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して六月以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従つて、当該土地に関する権利の行使として行う開発行為(政令で定める期間内に行うものに限る。)

十四 前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為

都市計画法一部抜粋

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/343AC0000000100_20180401_429AC0000000026/0?revIndex=5&lawId=343AC0000000100

調整区域の建築方法ケース1

基本的には、既存宅地が必要になります。

既存宅地とは以下の3つの要件に当てはまるものになります。

1.市街化区域に隣接している地域内の土地であること

2.おおむね50戸以上の建築物が立ち並んでいる地域内の土地であること

3.市街化調整区域に編入された際にすでに宅地であったこと。
(ほとんどの地域は昭和43~46年の間に指定されています。愛知県は一部地域を除き昭和45年11月24日に指定されています。)

調整区域に編入されているかは、地域によって変わるのでご確認下さい。

また、既存宅地でも34条許可は必要になります。

許可は下記の要件を満たしている場合です。

・線引きの日以前に建築された建物
・建て替え後も同じ用途
・建て替え後も同じ敷地にあり、同じ規模
・増築の際には制限がある

建築できるケース2(分家住宅)

分家住宅(制度)は、市街化区域に所有地がなく、調整区域に土地がある場合、子供に家を建てさせることを特例で許可するものになります。

各市区町村で条件は違うのですが、一例をお伝えします。

①線引(昭和45年11月24日)前から、継続して市街化調整区域において住んでいる
②本家の世帯構成員であった者であること
③本家となる者の3親等以内の血族である者、結婚していること又は婚約していること、本家の跡取りが明確であること
④本家となる者が市街化区域に建築可能な土地を所有していないことを名寄せなどで証明する
⑤本家となる者が線引前から、既存集落内又はそれに隣接する土地(一般分家)
⑥本家が生活の本拠を有する大規模既存集落内で線引後に取得した土地(大規模分家)

申請地が農地の場合500㎡未満かつ建ぺい率22%以上にする必要があり、土地分筆登記が必要になる場合があります。

建築できるケース3(その他)

ケース1、2以外にも建物を建築できるケースがあります。

下記に例を記載します。

・土地収用対象事業により移転するもの

・事業所の社宅及び寄宿舎

・大学等の学生下宿等

・社寺仏閣及び納骨堂

・既存集落内のやむを得ない自己用住宅

・市街化調整区域にある既存工場のやむを得ない拡張

・幹線道路の沿道等における流通業務施設

・有料老人ホーム等

・地域振興のための工場等

・大規模な既存集落における小規模な工場等

・介護老人保健施設

・既存の土地利用を適正に行うための管理施設の設置

・既存住宅の増築等のためのやむを得ない敷地拡大

・相当期間適正に利用された住宅のやむを得ない用途変更

・既存の宅地における開発行為又は建築行為等

・社会福祉施設

※建築可能か不明な場合はお問い合わせください。

まとめ

市街化調整区域は活用方法が限られるため、使用用途が限られます。

また、許可を受けるのも大変なことなので、自身で行うよりも専門家に任せた方が間違いはありません。司法書士やハウスメーカーなどに依頼をしましょう。

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