遺言書は、自身の意思を後継者に残すための、最後の気持ちになります。
呼び方は、一般的に呼ばれているのが「ゆいごんしょ」ですが、法律家などは「いごんしょ」と呼ぶことが多いです。
遺言書を残す理由は人それぞれですが、せっかく書いた遺言書が実は、法的に無効なんてケースもよくあります。
なので、ここでは遺言書の種類、方法、法改正でなにが変わったのかをお伝えしていきます。
きちんとした遺言書を残して、後継者達が揉めない、困らいないようにしていきましょう。
遺言書は書くべきか
「全ての人が遺言書を書くべきか」というとそれは違います。
家庭の状況によっては、遺言状を残した方がいい状況とそうでない状況があります。
たとえば、子供が一人で、配偶者も亡くなられている場合で、子供だけに相続する考えでしたら遺言書は書く必要はないでしょう。
逆に、遺言書を残した方がいいケースを下記でお伝えします。
遺言書を残すべき状況とは
遺言書は様々な場面で役立ちます。
下記に遺言書を残した方がいいケースをお伝えします。
・子供がいないケース
・相続人をする人がいないケース
・事業を継がせたい特定の人がいる
・土地建物などの不動産が財産に多くあるケース
・内縁、認知していない子供に財産を分けたいケース
・相続財産を特定の人に分けたくないケース
遺言書の中で、最もお手軽なのは自筆証書遺言です。
自身で所定の書式に従い、書くことができます。
ただし、相続発生後の開封時には、裁判所での遺言書検認があり、法的な内容を理解していない場合、各相続人の遺留分を分けていなく、争族になるケースも多々あります。
遺言書では、基本的には被相続人の意思が尊重されます。
しかし、相続人にも法的な請求をする権利もあります。
これは、従来相続することができる法定相続人の相続財産の半分までは遺留分として、相続財産を受けた人に請求することができます。
遺言書を好き勝手に書いてしまい、効力がないなどのリスクがあります。
また、被相続人が遺言書を作成時に実は認知症であった場合なども無効になるので、裁判で争われるケースが多いです。
遺言書の残し方は3つ
遺言書は全部で3つの書き方があります。
自身にあった方法を選び残していくことが大切です。それぞれの特徴や方式をご説明します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、名前の通り自身の自筆によって残す遺言書になります。
自筆証書では、遺言者がその本文、日付、氏名を自書し、これに印を押さなければいけません。
遺言は、15歳以上でなければ残すことができません。
また、自筆証遺言は、相続発生後に家庭裁判所の遺言書検認が必要になります。
自筆証書遺言の注意点
上記でもお伝えしましたが、遺言書は原則は、全て自分の直筆で書いて作成します。
ただし、法改正で財産目録はパソコン作成や通帳のコピーで代用できるようになりました。
ただし、全ての紙面に自身の自筆と押印が必要となります。
遺言書の日付は確実に記載しましょう、日付がないものは無効になります。
新しい遺言を書く際に、どちらの内容が正しいのか判断がつかない為、必要になります。
また、夫婦や他人との共同で遺言書を書くのは認められていません。各々が作成をしましょう。
ちなみに、押印については、実印でなくても認印や拇印(ぼいん)でも認められています。
押印の箇所についても、自署名下に押印がない場合であっても、封筒の開封したかどうかわかる押印があれば大丈夫です。
ですので、押印の漏れが不安の方は、封筒の封じ目にも押印をしておくことをお勧めします。
自筆証書遺言 メリット
他の遺言書に比べて手軽に遺言を書くことができ、煩雑な手続きの必要がなく、費用もかかりません。
また、内容の変更も新しく作成することも自由にできます。フォーマットも決まっていないので、要件を守れば書式は自由になります。
自筆証書遺言のデメリット
遺言書は決まっている所定の書き方を間違えると無効になります。
相続発生後の裁判所の遺言書検認の手続きがあります。
検認前の開封や相続人による書き換えがあった場合、無効、もしくは、過料や相続権を没収されてしまう可能性があります。
また、遺言書作成時の認知症の疑いをもたれ裁判になるケースも多々あります。
公正証書遺言とは
公正証書遺言は、自筆証書遺言とは違い、本人が公証役場の公証人に残したい遺言内容を伝え、公証人は内容を公正証遺言書に書き込むという遺言方法になります。
自身で書く自筆証書遺言と比較すると、遺言書をいつも確認、作成している専門家が間に入ることで、遺言書が無効になるなどの危険が少ないのが公正証のいいところです。
そして、相続財産が特定され、裁判所の遺言書検認が不必要になります。
公正証書遺言のメリット
自筆遺言書に比べ、無効になるケースが少なく、遺言書の内容が正確に相続人に伝わります。
書き方も公正証書のため、役場の方が作成するために間違いがありません。
また、相続人による書き換えなどもないため、安心ができる遺言の残し方になります。
公正証書遺言のデメリット
自筆遺言書に比べ、手続きや作成に時間がかかります。
また、証人が2人必要になるため、友人や弁護士などを集める必要があります。
作成や場合によっては弁護士を呼ぶため、費用がかかります。
また、公証役場に登録するため、遺言書を書いたことを秘密にすることはできません。
公正証書遺言の注意点
作成時は、遺言内容を口答で公正人に伝える。
内容の相談もできますので、公証人と相談しながら遺言内容を固めることができます。
伝える遺言内容が決まっていれば、メモ書きなどに書き留めて持って行くことをお勧めします。
公正証書遺言の作成時に、証人を2人選ぶ必要があります。
公正役場に行く前に決めておきましょう。
証人は以下の要件に該当した場合はなれません。
1.未成年者
2.推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
3.公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
20歳以上(成人年齢の引き下げ後は18歳)、かつ、配偶者、父母、祖父母、子、孫、兄弟でなく財産を受け継ぐ予定も受け取ったこともない人です。
弁護士、もしくは、公正役場の公証人でも可能になります。
公正証書遺言作成時の必要書類
印鑑証明書
戸籍謄本
相続人以外に遺贈する際は、受贈者の住民票
不動産の場合は、登記簿謄本、固定資産の評価証明
秘密証書遺言の場合
秘密証書遺言は、相続が発生するまで遺言書の内容を相続人に知られたくない時にする遺言です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の両方の特色を備えた遺言書です。
自筆の遺言書を公正役場に提出し、内密にしておくことができます。
秘密証書遺言のメリット
確実に本人が書いたと証明でき、内容を秘密にできる。
秘密証書遺言のデメリット
提出するだけなので、公証人も内容を把握していません。
なので、専門家の確認が無い為、無効になる可能性があります。
自筆遺言書と同様、家庭裁判所で遺言書検認手続が必要になります。
他の遺言方法
信託銀行で行われる、遺言信託や、裁判所で許可を貰う成年後見制度、また最近注目をされている家族信託で受託者や受益者などの設定を行えば、信託が財産の引継ぎを行ってくれます。
なにで、相続財産を分けるかはそれぞれの家庭の状況を加味して考えましょう。
家族信託については、下記の記事で詳しく解説をしているので参考にしてください。
遺言書の効力
遺言書の効力は相続財産に関することです。
たとえば、相続人の一部を相続人から外したいと考えた場合、遺産分割の割合を変えることを残すことができます。
相続人を相続対象から廃除することができます。
生前に虐待や重大な侮辱、その他非行などの法定の廃除事由が裁判所に申請し、認められると、相続人排除となり、相続人の相続権は消失します。
相続の排除、相続の欠格は下記記事で詳しくお伝えしています。参考にしてください。
相続人の排除や欠格でない限り、相続人には遺言書でも排除できない最低限の相続分(遺留分)あります。
遺言の内容が遺留分を侵害する際には、相続人が遺留分減殺請求侵害をすることで、侵害された相続人が本来の法定相続分の1/2の遺留分を請求する事ができます。
2019年7月1日に法改正があり、遺留分滅殺請求は遺留分侵害額請求権となりました。
まとめ
遺言書は効果を出さなければ、書いた意味がありません。簡単な自筆で書けばいいと思っていても、法律家などに確認はお願いしたほうがいいでしょう。
思い違いなどで、効力を発しない遺言書を残しても意味がありません。
公証人役場にかかわらなくても、法律家に確認してもらい、銀行や法律家に預けておく事もできます。
どの制度がいいかは、環境や状況を踏まえて変えていくのがいいでしょう。
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