不動産の売買では、不動産を持っている所有者本人と不動産を購入したい買主本人が売買契約書に署名と捺印をして契約をします。
しかし、この契約にも例外があります。
それが代理人契約です。
代理人契約は、売主側に多いですが何かしらの理由があって売買契約を買主と結ぶ事が困難な状況にある人が、代理人を立てて、代理人に代わりに署名捺印をして貰うことを言います。
同じ様に、持ち回り契約と呼ばれる契約もあり、これは不動産会社などが仲介に入っているケースで、売主・買主が別日・別場所でそれぞれが署名捺印を行い、売買契約を成立させるやり方です。
共に、不動産売買に関わる本人に会う事がないので、リスクが伴います。
なぜリスクがあるのかわかりやすく解説をしていきます。
代理人契約と持ち回り契約とは
売買契約では、通常では売主・買主が顔を合わせて契約をします。
ただし、これは絶対ではありません。
お互いの状況次第では、本人以外と契約する事があります。
例えば、遠方に住んでいるケース、障害などで外に出れないケース、あまり無いですが売主・買主の仲が悪いケースなどがあげられます。
そんな状況になって行われるのが代理人契約と持ち回り契約です。
代理人契約の内容
代理人契約は、売買契約に立ち会えない場合に、代理人を立てて契約を行う事です。
任意と法定の2つがあります。
任意代理人は、不動産の所有者本人の意思で任意に誰かを指名して代理権を与える方法です。
よくあるのは、所有者の妻や子供に代理権を委任して売買契約が行われます。
法定代理は、本人の意思によらずに代理権を持つ事で、未成年の子供などが親に代理権を行使するケースがあります。
代理権を受けるには、本人から代理人に代理権を渡す事を示した委任状が必要です。
委任状の書式などは決められていませんが、下記の内容が書かれていない委任状は無効になり、売買契約自体も無効になるケースがあるので、特に注意が必要です。
委任状記載事項
・委任者(不動産所有者)の住所氏名を署名捺印
・受任者(代理人)の住所氏名
・取引の不動産の登記簿に記載されている住所、㎡、地目など
・委任する範囲(不動産売買契約に関する一切の権利など)
この様な内容を記載しておけば、大丈夫です。
もし仲介業者がいる場合には、そちらが用意する委任状でも問題はありません。
また、委任者である不動産の所有者は直筆での署名と実印での捺印が必要です。
なので、委任状に加えて印鑑証明書、身分証のコピーや住民票なども併せて相手型に提示するか不動産会社が確認します。
持ち回り契約の内容
持ち回り契約は、主に仲介会社が間に入っているケースで行われます。
仲介する不動産会社が別々の日時に、売主・買主から署名捺印を貰い契約をします。
通常は、売主が先に署名捺印をするケースがありますが、買主が先に署名捺印をするのがダメという訳ではありません。
委任契約同様に本人であるという確認が最も重要となる為、不動産を所有している本人の身分証明書、印鑑証明つきの売買契約書、住民票、不動産の権利書もしくは、登記識別情報のコピーを買主に開示するのが通常になっています。
顔を合わせないリスク
不動産売買契約で顔合わせを行わずに契約するのは、実はかなりのリスクがあります。
基本的にはあり得ない事ですが、どちらのケースでも本人が署名捺印をしているとは限りません。
少し前に問題になった地面師などの詐欺グループが書類を偽造して契約をする事があります。
最も注意しなければいけないの買主です。
買主は、不動産売買契約時には手付金、引き渡し時には残金、もしくは、引き渡しまでに中間金を支払います。
この支払いを行った後に、本人でない人が消息不明になり、本人が売買契約を否認したケースでは、お金も戻ってこず、不動産も購入出来ずに困ったことなってしまいます。
なので、代理人契約や持ち回り契約では、基本的には手付金などは断った方が良いでしょう。
それでも手付金を請求される取引は疑ってかかるか、売買契約自体を見送るのが安全です。
もちろん不動産会社が間に入っている場合には、その不動産会社に責任を追及できますが、そもそもその不動産会社もグルだった場合には目も当てられません。
まとめ
イレギュラーなケースとして、代理人契約や持ち回り契約がありますが、出来る限り対面で行う事をお勧めします。
売主の場合でどうしようもなければ、信頼できる代理人や不動産会社を探す事。
買主の場合であれば、手付金などを一切支払わない契約にするべきでしょう。
不動産取引は自己責任も問われる事が多々ありますので、疑わしい取引はしない方が良いです。
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