公務員の共済年金が厚生年金と統合されました。
公務員が受け取る共済年金と会社員が受け取る厚生年金は全く別のものでしたが、厚生年金に統合され、共済年金は今、受給している人を除きなくなりました。
実際には支払いが厚生年金よりも安いなどの不公平感があったのですが、統一後は共済年金の保険料率が上がったり、職域加算が廃止されたりと、共済年金の加入者にとっては嬉しくない変更になります。
ですが、厚生年金加入者からしてみれば、公平になった、または、積み立て金が減ってしまうと言われている変更になります。
また、どんな影響があるのかは確定されていませんが、今後の動向は注意したい変更になります。
共済年金と厚生年金が統一された理由
公的年金制度は基本的には2階建てになり、さらに企業年金や職域加算(現在は年金払い退職給付)の3階建てと言われています。
1階部分は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金になります。
2階部分は企業、団体に所属している人が加入する厚生年金(旧共済年金含む)になります。
統一は、この2階部分をしたものになります。
少子高齢化に伴い、年金財政に規模を大きくすることと、制度の安定化を図る為に制度変更がされました。
共済年金は、国家公務員、地方公務員、私立学校職員の3つに分かれていました。
この分かれていた共済年金を一元化することで、無駄な費用の削減と年金保険料の引き上げで財政の立て直しを目指しています。
会社員と公務員の年金の公平化
会社員と公務員の年金の支払い額、給付額に違いがある為、それを同じにして、国民の信頼を高めていく目的もあります。
厚生年金と共済年金の統一でどう変わるのか
国民年金の加入者は、
・第1号被保険者:自営業者、学生など
・第2号被保険者:会社員・公務員・私学の教職員など
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
以上の3種類に分かれます。
厚生年金と共済年金の統一は第2号被保険者の変更にあたります。
共済年金の主な変更は以下のとおりです。
保険料率の引き上げ
平成16年より厚生年金、共済年金を毎年保険料率が0.354%ずつ引き上げられています。
平成29年9月には、厚生年金の保険料率は18.3%になるので、この率で固定されます。
共済年金は引き続き0.354%ずつ引き上げられ、共済は平成30年に、私学共済の場合は、平成39年に18.3%になり、厚生年金と同様に固定されます。
職域加算の廃止と年金払い退職給付の新設
基本的には2階建ての年金ですが、共済には3階に当たる職域加算が従来はありました。職域加算が廃止になり、年金払い退職給付が新設されます。
被保険者の年齢制限の新設
共済には元々は、加入する時に年齢制限はありませんでしたが、統一化で70歳までに変更になります。
私学共済については別の規定になります。
年金受給者が亡くなった場合の給付範囲の変更
年金受給者が亡くなって受け取る年金のうち、受け取れなかった年金がある際は、共済では遺族または相続人であれば制限なく受け取れましたが、3親等内までと改められました。
在職支給の停止
年金を受給している人(老齢年金受給者)が給与を貰っている場合、雇用条件によっては、年金の一部または全部が支給停止されます。
厚生年金と同じ条件に変更されています。
共済では障害年金受給者にも在職支給停止が決められていましたが、統一化により障害年金受給者については支給停止の決まりが廃止されています。
遺族年金の転給の廃止
遺族年金の受給者が亡くなった場合、
1.配偶者・子ども
2.父母
3.孫
4.祖父母
上記の順位で受給権利が譲れられる、転給の制度がありましが、その制度が廃止されました。
また、統一化で共済年金の名称や組合が無くなってはいません。
加入者の便宜を図るため統一後に必要になった届け出や問い合わせなどは、日本年金機構、共済組合の両方で相談と受付をしてもらえます。
共済年金が厚生年金と一緒になる まとめ
共済年金も厚生年金もともに、老後の資金としては、不十分になる可能性が高いです。
事前に、貯蓄や投資などで老後資金を蓄える必要があります。
ハイリスクハイリターンで短期で稼ぐのではなく、節税と長期の投資で老後に余裕を持って暮らせる環境を整えましょう。
年金については下記記事で詳しく解説しております。ご参考にして下さい。
コメント
そもそも何故共済年金が廃止になったかの理由を明確に記述した方が良いと思います
民間より少ない徴収で民間より多い給付と言う放漫な運営を継続していた公務員共済は
積立金が早ければ2030年時点でほぼゼロになる試算が出されました
この時点まで待って厚生年金に統合したのでは「厚生年金へのタダ乗りだ」と糾弾の声が大きくなるため
近い将来の破綻が確定的に予測された時点で制度の統合に着手したと言うのが実態です
積極的に経済価値を創出しない公務員が厚生年金の支給対象となった事で
厚生年金側の積立も将来性が危ぶまれる状況となったため
政府は消費税率引上げによる財源確保や、厚生年金適用範囲の拡大による企業負担増など
市場からの短期的な金銭の回収策に踏み切る結果となりました
平成28年以降、急速にこれらの議論が活発化したのも、公務員共済の実質的破綻が大本の理由です
コメントありがとうございます。
後々に編集していこうと考えて頂いた内容を加筆して頂き有難う御座います。
共済年金も含め、昔と違い今の公務員は優遇されていますからね。
バブル時代は、公務員になる人が少なく、他の面で優遇している制度が多々残っているので、
いつかは無理が来るのはわかっていることです。
今後も公務員の待遇は今よりは悪くなる可能性が大きいですよね。
「当時公務員は人気が無かった」のではなく「公務員でない職種でも今より楽観的な人生設計が出来た」と言う表現が正しいでしょう。
だからこそ多方面の産業にチャレンジ出来た時代でもありましたし、事実、新たな技術が次々と創出された時代でもありました。
また、正規の公務員の人数自体はバブル時代の方が現在を遥かに上回っています
何故なら外部提携業者への業務委託による分業化が進んでいなかったからです。
同時に平均給与に関しても1990年~2000年の時点で、公務員給与は民間男性正社員平均の1.2倍前後と大幅に上回っています。
「バブルの頃は公務員の給料が安かった」と言われるのは、実態のデータに基づいた話ではなく
バブル当時40~50代だった人々が「自分が就職した頃は公務員給与が安かった」と言う体感の話が中心です。
(この当時の若年者はそもそも周囲の給与の比較に関する知見が年長者より少ないので、影響力を持つのはこの年齢層になります)
田中角栄政権以降から公務員給与は民間を上回るペースでの上昇を始めているため、時期的にも合致します。
当時は現在ほど簡単に賃金統計を確認する手段が無かった時代ですから、風聞が場を支配するのはある程度仕方がないのですが
令和の時代を迎えた現在、根拠のない虚偽の言説に惑わされないようにしたいものですね。